リ・アルティジャーニ最終回「時は流れて…」
2021年05月25日
ヤマザキマリ+とり・みき『リ・アルティジャーニ』最終回が載った「芸術新潮」6月号が発売されました。フィレンツェのブランカッチ礼拝堂で語る老いたボッティチェリと弟子のフィリピーノの前に現れる一人の男。
その男とボッティチェリは、連載当初には同じヴェロッキオ工房の新弟子と兄弟子でした。老境に入りその立場もずいぶん変化した二人がかわす言葉とは......?
『リ・アルティジャーニ』第1回が載ったのは2016年1月号。フィレンツェのもっともよく見る風景から始まった本作は、同じフィレンツェの夕景で終わります。
『リ・アルティジャーニ』は『プリニウス』同様、ヤマザキマリさんとの連名の合作になっていますが、後者と違い、こちらのストーリーやセリフには、とりはほとんどかかわっていません。完全にヤマザキさんの作品で、僕は絵のお手伝いをしていただけなので、本当は合作のクレジットはおこがましい。チーフアシくらいの立場です。
古代ローマ同様、ルネサンスに関しても自分は通り一遍の知識しか持っていなかったので、描きながら少しずつ勉強していきました。ヤマザキさんは元々両方の素養があるからいいですけど、僕にとっては二本とも新分野。実作業以上に、そのバックグラウンドの把握や資料調べに時間を取られました。知れば知るほど面白いので苦痛ではないのですが、大変なのは大変。
しかしなんで29話で終わりなんだ。30話だときりがいいのに......などと思ってしまうところが、そういう細かいことを気にしない大作家と凡人の違いです。
ヤマザキさん、足かけ7年お疲れ様でした。よい仕事になりました。もう一本もそろそろラストスパート態勢ですが、頑張りましょう。