西郷どん

2018年03月25日

本日は日曜日。NHK大河ドラマ『西郷どん』のフィクショナルな部分がときどきSNSなどでも賛否両論的に話題になっていますが、僕とヤマザキマリさんの合作『プリニウス』『リ・アルティジャーニ』も歴史上の人物を扱っている作品なので、史実と虚構のバランスというのはいつも考えている問題です。

僕はやはりマンガ家ですから、がんじがらめに史実に縛られるよりは、よく調べた上で敢えて脚本家や演出家独自の想像力でその人物や事件の「らしさ」を表現したり、文献には残ってないけれども可能性的にはあったかもしれないシーンを描くのには肯定的です。ドラマなんですからね。『翔ぶが如く』や『篤姫』との差異化も出さねばならず、加えていくら過去のことを描こうが、同じ題材を扱おうが、今作っている作品には当然、今の世の中の問題を踏まえた視点というのが入って然るべき。毎回「なるほどこう来たか」と面白がって見ています。小柳ルミ子さん演ずる由羅などポッパエアっぽい。

むしろメインのストーリーより、VFXでいくらも直せるだろうに、後ろに見えてる桜島が大隅半島とくっついちゃってるよ(くっついたのは大正の大噴火のとき)とか、そういう細かい所のほうが気になりますが、そこはオタクのサガですね(※)。あまりいうと自作にもたくさんツッコミが入りそうなのでこの辺で……(ちなみにミスはできるだけ単行本化のときに直してますが、演出効果を考えて、敢えてついている嘘もあります)。

ところで僕は自分のマンガにも西郷どんを何度か登場させています。

僕の育った人𠮷は西南戦争にも関わりの深い土地で、熊本に引っ越す前の実家の斜め向かいには、田原坂で敗れた西郷がひと月の間本営を置いた永国寺というお寺がありました。なので子供の頃から彼には関心があったのです。西郷は象皮病のため陰嚢が巨大に腫れており馬に乗れなかったのは歴史マニアにはよく知られているところですが、それを作中で描いたドラマや映画は過去あったのかな? 今回のドラマではぜひ描いてほしい。ぜひということもないが。

というわけで自分のマンガに登場する西郷どんは下のようになっています。

とり・みき『人達』より「敬天愛人」
とり・みき『人達』より「敬天愛人」