小林清志さん

2022年08月09日
2004年頃のイメージカット『映画吹替王』より
2004年頃のイメージカット『映画吹替王』より

小林清志さんは吹替黎明期に小林守夫さんはじめ多くの音響ディレクター及び声優(ここでは便宜的に)を輩出した日大芸術学部出身で、最初は翻訳家としてこの世界に入ったという珍しい経歴の方でした。

翻訳家としてのペンネームは小林中。「ルーシー・ショー」や長尺物も担当し、初期のTVシリーズ「ジス・マン・ドーソン」やアニメ「マイティ・ハーキュリー」では主役と翻訳の二刀流も。日本のアニメで最初にお声を認識したのは「宇宙パトロール・ホッパ」かな。妖怪人間ベムやアームストロング・オズマ(巨人の星)も忘れがたい。テックス・アヴェリーの狼も小林さんでしたね。

二刀流は10年続きましたが、やがて声の仕事に専念、ローバリトンを活かしジェームズ・コバーン、ジャン・マリア・ヴォロンテ、フランコ・ネロ、リー・マーヴィン、ジョージ・ケネディ等を担当。コバーンのイメージは次元にも投影されました。個人的にはジャン・マリア・ヴォロンテやアル・レッティエリなどの脂ぎったイタリア系悪役のお声がよく合っていました。ご自身は、とくに晩年はトミー・リー・ジョーンズがお気に入りだったようです。

「超人バロム・1」では刑事役で出演もされていましたが、その後は基本的には顔出しNGでインタビューもほとんどお受けにならない方針に。とりは幸運にも二度ほど長めにお話をうかがうことができました。「俺の経歴なんてアンタのほうがよく知ってるよ」などとドスの効いた声で言われ恐縮しましたが。

その小林さんもコバーンと納谷悟朗さんが亡くなられたときにはコメントやお写真を発表され、長年一心同体であった俳優と声の仕事での偉大な先輩を偲ばれました。2021年の秋が勇退宣言でしたから、本当に間際まで現役を貫かれたことになります。長い間お疲れ様でした。

↑訃報の流れで自分の本を紹介するのもどうかと思ったが、そう多くはない小林清志さんのインタビュー、読みたい方もおられるのではないかと思いましたので……。というか宣伝もなにも、そもそも絶版だし版元すらも哀しいことに今はない。どこかでお手に取ったら読んでください。