プリニウス第58回「コルブロ」
「新潮」6月号発売されました。
『プリニウス』は第58話「コルブロ」。コリントスへ巡幸中のネロは自分の暗殺疑惑の容疑者として、長く続いていたアルメニア〜パルティアの紛争を平定した名将コルブロを呼びつけます。
![](https://69d73dd3e1.clvaw-cdnwnd.com/96e8b64490a8f7dc0b172712fd8a0ab4/200000398-b7828b87a3/D6NJJXqUcAAJvJc.jpg?ph=69d73dd3e1)
アルメニアやパルティアへの長年にわたるローマ軍の遠征は、現地のミトラス教がローマ軍人の間で流行するきっかけにもなり、前回のエピソードとも無縁ではありません。
![](https://69d73dd3e1.clvaw-cdnwnd.com/96e8b64490a8f7dc0b172712fd8a0ab4/200000404-ea49ceb401/cob.png?ph=69d73dd3e1)
その紛争を終わらせた将軍コルブロは軍人からも市民からも慕われた英雄でした。ヤマザキさん描くコルブロはいかにも人格者らしい顔立ちで、かっこいい。
![](https://69d73dd3e1.clvaw-cdnwnd.com/96e8b64490a8f7dc0b172712fd8a0ab4/200000399-3f62d405a0/Corbulo.jpg?ph=69d73dd3e1)
彫像として残っているコルブロ(写真はwikipediaより)
ネロが赴くコリントスはペロポネソス半島とギリシア本土を繋ぐ結節点にあり、古代より軍事・交易の要衝として栄え「ギリシアの星」と呼ばれました。街を見下ろすアクロポリスにはアフロディーテ神殿があり、そこに仕える多くの神殿娼婦がいたと伝えられています(巫女兼遊女の存在は日本の古代や中世とも共通してますね)。写真はとり撮影。
![](https://69d73dd3e1.clvaw-cdnwnd.com/96e8b64490a8f7dc0b172712fd8a0ab4/200000400-9b2e99c24f/12_280.jpg?ph=69d73dd3e1)
![](https://69d73dd3e1.clvaw-cdnwnd.com/96e8b64490a8f7dc0b172712fd8a0ab4/200000403-1469415615/D6NJJXpU8AA7X4X.jpg?ph=69d73dd3e1)
コリントスでは古代ギリシア四大競技会のひとつイストミア大祭が行われました(開催は2年に一度、古代オリンピックの前後の年)が、共和制ローマ時代に街は一度ルキウス・ムンミウスによって破壊されます。
コリントスを再建したのはカエサルでした。ローマ風の植民都市に改造しローマ人・ギリシア人の他にもユダヤ・エジプト・小アジアからの移住者が多く住み、国際色豊かな都市として復興しました。それだけ先に述べた神殿娼婦の需要も増え一大歓楽地の様相も呈していたようです。
この地峡に運河を通せばペロポネソス半島を大回りせずにすむ、とは昔から誰もが考えるところで、ネロもまたその工事計画に着手しますが、結局完成はしませんでした。最終的に運河が開通したのは1893年のことでした。下はそのコリントス運河。こちらもとり撮影、高所恐怖症なので怖い怖い。
![](https://69d73dd3e1.clvaw-cdnwnd.com/96e8b64490a8f7dc0b172712fd8a0ab4/200000401-388bd39831/12_284.jpg?ph=69d73dd3e1)