GQ版 遠くへいきたい第10回/ワールドカップ

2018年06月28日

GQJAPANの「遠くへいきたい」第10回がUPされました。今回は連夜睡眠不足を加速させているワールドカップネタです。

以下、マンガとは関係ない雑話。

現在休止中の僕のツイッターとかを以前からご覧になっていた方ならご承知の通り、まあこの時期は仕事どころではなくなる。

サッカーに関しては代表の試合だけでなく、なかなか球技場に足を運べないのでサポーターというにはおこがましいが、ずっと応援しているクラブもある。

早生まれが関係しているのかどうか、とにかく小学生の頃は運動音痴で体育の授業が嫌で嫌で仕方なかった。また熊本というのは野球王国で、男の子の大半は早くからボールとバットの扱いに慣れ親しむのだが、これがまたからきし苦手で友達からもいつもオミソ扱いされていた。

ところが同じ団体球技であってもサッカーだけはなぜか相性がよく、やってみるとけっこうこなせた。試合では全般的に体育の得意な子がやはりFWでこっちはもっぱらDFなのだが、うまくするとボールを奪えることもあり、ふだんオミソの分それが面白くて、真冬でもまだ暗い早朝から校庭の場所取りをして朝の掃除の前に有志でミニゲームをするようになった。そんな時期にメキシコ五輪で日本が3位になる。以来、サッカー熱が続いているというわけだ。

とはいえ、ツイッター始めネットでは出来るだけ具体的な試合評とか書くのは避けてきた。サッカーはつい素人が色々レトリックを駆使して戦術などを語りたくなるスポーツだ。それもまた楽しいのだが、私の文章はふだんからもってまわった面倒臭いところがあるのを自覚しているし、そういう文体でレベルの低い半可通なサッカー評をひけらかすのは世のためにも自分のためにもあまり好ましいこととは思えない。ただでさえこの時期はそういうテキストがネットを覆い尽くすし。

(長い不遇の時代を過ごしてきた)古いサッカーファンは、だいたいにおいて代表戦だけ異様に盛り上がる風潮に対してシニカルで、あえて他国の選手やクラブ戦のことばかり語っていたりする。かくいう自分もまたふだんは斜にかまえた物の見方をしがちなひねくれ者なのだが、せめて大好きなサッカーくらいは馬鹿のようにプリミティブな観戦の仕方をしたい。サッカーは喜怒哀楽に乏しい自分がその感情を発露できる数少ない対象なのだ。

今回の代表は事前のごたごたがあり、協会の対応には色々と物申したいこともあるが、それでも試合は観るし選手は応援するのである。少なくとも試合中はサッカー以外の別の概念や要素(度を超した愛国心とかチームのゴシップとか)を、サッカーの上位に持ち込みたくはない。ただただピッチ上の素晴らしいプレーを楽しみ讃えたい。代表はもちろん、どの国の選手であっても。

かくして今夜も「ああ」とか「おお」とかのオノマトペを呻きつつ試合を観るのである。