プリニウス最終回「テラ」がくらげバンチで無料公開

2023年03月03日

ヤマザキマリ+とり・みき『プリニウス』最終回がくらげバンチで無料公開になりました。皆様長い間ご愛読ありがとうございました。

「新潮」リリース時のお知らせ(前回)で書かなかったことを二つほど。

ヴェスヴィウスの噴火はプリニウスのいるスタビアエとナポリ湾を挟んで対岸のミセヌムにも被害を及ぼしました。小プリニウスは知人に「街を出たほうがいい」と促されたことをタキトゥスへの書簡に記しています。書簡では避難を促したのは「最近ヒスパニアからやってきて逗留していた叔父(プリニウス)の友人」と記されていますが、ここでは最終回になって新たな登場人物や人間関係を持ち込むと話が複雑になるので「お隣さん」ということにしてあります。

いうまでもなく『プリニウス』のもっとも重要な一次資料は本人の著した『博物誌』と小プリニウスの残した書簡集で、当然、作者二人とも読み込んでいます。しかしマンガ作品ですからそこにはアレンジや簡略化、書かれていない部分を補完する創作も入り込んでおります。原典と違う描写を発見された場合は、それはほとんど意図的というか確信犯での演出ですので、むしろなぜ作者はそうしたかをお考えになると楽しいかと思います。

もうひとつはやや蛇足的ですが、最後にフテラが太陽を背に現れるのは、カラスが本邦でも世界の他の地域でも古代から太陽の象徴だからです(なぜそうなのかは黒点説とか色々ありますが各位お調べください)。

タニティアが女船長として乗り込む船の帆にはカラスを描きましたが、これはわざと紀州熊野本宮大社の八咫烏に似せました。八咫烏は三本足ですけどね。

※現在は1〜2話を除き無料公開は終了しております。