吹き替え 声の名演技(朝日新聞12/24

2017年12月25日

朝日新聞12月24日 日曜版「文化の扉」に、上記のタイトルで吹き替えに関する記事が掲載されました(WEB版はこちら)。僕、フィールドワークス藤村健一氏、吹替の帝王、そして相方のヤマザキマリさんが取材に応えています。

ヤマザキさんは黒澤映画はほとんどイタリア語吹替版で観たとのこと。イタリアは欧州の中でも吹替文化が発達している国で、僕も現地のテレビで見たことがありますが、なかなか自然です。『奥さまは魔女』みたいなコメディは本国以上にしっくりきている(イタリア語わからないけど)。

とはいえさすがに日本の時代劇はどうなのか、と思いきや、イタリア語吹替の『子連れ狼』の動画など観ると、意外とフィットしています。

これは時代劇自体が西部劇やマカロニウェスタンの影響を受けてきたせいもあるかもしれません。

つまり、黒澤がハリウッド西部劇の影響のもと、それまでの本邦の娯楽時代劇とは違った演出で『七人の侍』など幾つかの作品を撮ると、60年代にはその黒澤映画が初期マカロニウェスタンに引用(『荒野の用心棒』等)されます。すると70年代の日本のテレビ時代劇は、今度はそのマカロニウェスタンの影響をもろに受けた画作り話作りをすることになる。作品によっては音楽までマカロニっぽかったですからね。それがまた一巡りしてイタリアで受ける......というフィードバックを繰り返してきているわけです。

ヤマザキさんによると、イタリアのある一定年齢以上の人はDAIGOROって言えばなんのことか普通に通じるくらい人気番組だったそうです。

そういう風に吹替の魅力を認めつつも、ヤマザキさんは日本のバラエティ番組における、現地外国人の過剰に横柄、もしくはフレンドリーな翻訳には苦言を呈しています。これに関しては僕も以前にブログに書いたことがあるので、興味のある方はご一読ください。

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