2016年5月18日水曜日

三つのパルミラ

本日発売の「新潮45」6月号掲載の『プリニウス』第29回でパルミラ(パルミュラ)を描きました。

そして奇しくも(同じ作者なのに奇しくもというのは変ですが、掲載時が重なったのは偶然です)ただいま発売中のグランドジャンプNO.12には、プリニウス共作者のヤマザキマリさんがパルミラを描いたマンガ『Palmyre au mmusée 〜美術館のパルミラ〜』が掲載されています。 
こちらは今年7月22日より六本木・森アーツセンターギャラリーにて開催されるルーヴル美術館特別展 「ルーヴルNo.9 〜漫画、9番目の芸術〜」の展示用に描き下ろされたものだそうです。詳しくはヤマザキさんのブログをご覧ください。 

本家イタリアやヨーロッパの古代ローマ遺跡は、火砕流や火山灰に埋まったエルコラーノやポンペイ、そして闘技場や水道橋などの巨大建造物を除いては、多くはあまり保存状態がよくありません。温帯なので長い年月風雨にもさらされるし、時代時代の人の家もその上に建てられている。 

むしろローマの属州であった北アフリカや中東のほうが、乾燥した気候風土のおかげで、当時の植民都市が良い状態でそっくりそのまま残っていたりします。ローマはローマと同じインフラや娯楽施設(広場・水道・浴場・劇場・闘技場等々)をどこの植民都市にもほぼ同じ様式で築き市民に提供したので、それを見れば当時の古代ローマの様子もまたわかるというわけです。 

パルミラもその一つで、ただここはシルクロードの要衝でもあったため、ローマとともにオリエントの影響も色濃く、当時としても大変にエキゾチックな国際都市であったといわれています。ベル神殿、長い列柱道路、そして巨大な四面門が特徴的です。

2015年、ISIL (ISIS) はこの地を制圧、遺跡の研究管理者でミスター・パルミラといわれたハレド・アサド氏を殺害し、遺跡の一部を破壊しました。アサド氏はNHKの「探検ロマン世界遺産 シルクロード 隊商の楽園 〜シリア・パルミラ〜」(2005年)でも案内役として登場しています。
ヤマザキさんはシリア在住時にこの地を訪れ、そのときの興奮をエッセイマンガ『世界の果てでも漫画描き②』にも描いています。彼女にとっては思い入れの大きい遺跡の一つだったのです。

『Palmyre au mmusée 〜美術館のパルミラ〜』は、今は亡きハレド・アサド氏に捧げられています。

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